賃貸管理会社を変える前に、手数料より先に見る数字
賃貸管理会社を変えたいと思う入口は、多くの場合とても小さな違和感です。報告が遅い、入居者対応の温度が合わない、修繕の見積もりが分かりにくい、空室が長くなった。ひとつだけなら様子を見ることもできますが、複数が重なると、管理委託そのものを見直したくなります。
ただ、管理会社の見直しは「手数料が安いところへ変える」だけで決めると、かえって手間が増えることがあります。大切なのは、空室期間、募集条件、修繕履歴、報告頻度、契約の引き継ぎを同じ順番で見ることです。手数料は最後に比べるくらいでちょうどよい場面もあります。
管理会社を変える前に見る4つの数字
- 空室期間 募集開始から申込みまでの日数を部屋ごとに見る。季節要因と募集条件を分けます。
- 家賃改定 近隣相場に合わせた下げ幅だけでなく、設備交換や広告条件との関係を確認します。
- 修繕費 単発の金額より、退去ごと、年ごと、建物全体で増えているかを見ます。
- 連絡速度 オーナーへの報告、入居者対応、業者手配の遅れが収益に影響していないかを見ます。
空室は全国データでも大きな論点になっている
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では、2023年10月1日時点の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%です。空き家のうち「賃貸用の空き家」は443万6千戸で、空き家全体の49.3%を占めます。
この数字は、個別物件の空室リスクをそのまま表すものではありません。それでも、賃貸市場では空いている部屋が相当数あるという前提を置く必要があります。管理会社の見直しでは、「入居者が決まらない理由」を家賃、設備、広告、内見対応、管理品質に分けて見ることが出発点です。
数値確認: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(確認日: 2026年8月30日)
管理会社への不満は、項目ごとに分ける
管理会社を変えたいと思ったとき、最初に出てくる言葉は「対応が遅い」「報告が薄い」「空室が長い」など感覚的なものになりがちです。その感覚は大切ですが、見直し先へ伝えるには項目に分ける必要があります。
空室、家賃設定、修繕、滞納、退去精算、月次報告、入居者対応。どこに不満があるのかを分けると、管理会社の問題なのか、物件条件の問題なのか、賃貸経営を続ける前提の問題なのかが見えやすくなります。
賃貸住宅管理業の登録制度も確認する
国土交通省の賃貸住宅管理業登録制度では、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は登録が義務とされています。登録の有効期間は5年で、更新申請は満了日の90日前から30日前までに行う制度です。
オーナー側が管理会社を見直すときは、担当者の印象だけでなく、登録の有無、管理範囲、重要事項説明、契約書面、修繕発注の流れを確認します。制度を知っておくと、「安いから」ではなく「管理の仕組みが合うか」で比べられます。
数値確認: 国土交通省「賃貸住宅管理業登録の方法」(確認日: 2026年8月30日)
サブリースは契約前の説明を別枠で見る
サブリース契約では、賃料が固定される安心感に目が向きやすい一方で、賃料改定、契約解除、修繕負担、免責期間の理解が欠かせません。国土交通省は、サブリース業者と勧誘者に対する誇大広告、不当勧誘、契約締結前書面交付・説明などのルールを整理しています。
管理会社の見直しとサブリースの検討を同時に行う場合は、通常管理と一括借上げを同じ表に入れないほうが読みやすくなります。収入の安定性、契約の自由度、修繕判断、将来売却のしやすさが違うためです。
数値確認: 国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」関連ページ(確認日: 2026年8月30日)
見直し先へ聞くことを先に決める
| 論点 | 聞くこと | 手元で見る資料 | 判断の置き方 |
|---|---|---|---|
| 募集 | 募集開始日、掲載媒体、内見数、申込みが入らない理由。 | 募集図面、家賃推移、反響レポート。 | 家賃だけでなく、写真、設備、初期費用まで見る。 |
| 修繕 | 見積もりの比較、発注基準、緊急対応の範囲。 | 退去精算書、修繕履歴、建物点検記録。 | 単価より、説明の透明さと予防修繕を見る。 |
| 報告 | 月次報告、滞納報告、クレーム対応の連絡方法。 | 管理レポート、メール履歴、契約書。 | オーナーが判断できる粒度で届くかを見る。 |
管理変更の前に、改善したい順番を決める
管理会社を変える目的が曖昧なままだと、新しい会社を選んでも不満が残ります。空室を短くしたいのか、修繕説明を細かくしたいのか、入居者対応を任せたいのか、月次報告を読みやすくしたいのか。目的ごとに優先順位を付けます。
たとえば空室が問題なら、募集条件、写真、広告媒体、内見対応、家賃改定を見ます。修繕が問題なら、見積もり比較、発注権限、緊急対応、設備交換の提案力を見ます。報告が問題なら、数字だけでなく判断材料が届いているかを見ます。
こうして目的を分けてから管理の入口を見ると、手数料の安さだけに引っ張られにくくなります。賃貸を続ける判断が強いなら管理会社を比べる。物件の競争力や修繕負担が重いなら、売却価格も同じタイミングで確認します。
管理会社を比べる前に
今の管理条件を整理してから、外部の入口を見る
空室、修繕、報告、契約内容を並べると、管理会社を変える理由が言葉にしやすくなります。
リビンマッチの賃貸管理の入口を見る売却価格も一度だけ横に置いてみる
管理会社を変える話をしているのに、売却価格を考えるのは遠回りに見えるかもしれません。しかし、空室が続き、修繕費が増え、将来の大規模修繕も近い場合、賃貸経営を続ける理由は数字で見直したほうが冷静になります。
売る、持つ、貸し続ける。どれかを急いで選ぶ必要はありません。いまの管理に違和感があるなら、まず管理会社の候補を見て、同時に売却した場合の価格帯も知っておく。複数の出口を見てから、賃貸経営を続けるかどうかを決めるほうが、後から説明しやすい判断になります。
管理を変える前に、売却という出口も置く
賃貸経営を続ける前提で管理会社を探すことは自然です。ただ、空室期間が長く、修繕費が増え、築年数による競争力の低下も見えているなら、売却価格を一度横に置いたほうが判断しやすくなります。
売却価格を確認した結果、賃貸を続ける判断になることもあります。その場合でも、いま管理会社に求めることが明確になります。収益改善を期待するのか、手間を減らしたいのか、将来売却までの管理を任せたいのか。目的を分けることで、管理会社選びの質問が変わります。
見直し後の半年で確認すること
管理会社を変えた後は、すぐに結果だけを見るのではなく、半年程度の変化を項目ごとに見ます。募集開始までの速さ、写真や図面の更新、内見数、修繕提案の内容、月次報告の読みやすさを確認します。
半年経っても空室や修繕負担が変わらない場合は、管理会社だけの問題ではない可能性があります。そのときは、賃料改定、設備投資、売却価格、買取の入口まで広げて、出口を見直します。
委託契約書を読み直す
管理会社への不満が強くなると、すぐ別の会社を探したくなります。その前に、いまの管理委託契約書を読み直します。管理範囲、解約通知期間、原状回復の発注権限、滞納時の対応、更新業務、報告書の内容がどこまで契約に含まれているかを確認します。
期待していた業務が契約外だったのか、契約内なのに対応が弱いのかで、次の動きは変わります。見直し先に同じ不満を繰り返さないためにも、不満を感覚のまま持ち込まず、契約項目に置き換えることが大切です。
空室の原因を、管理だけに寄せない
空室が長いと、管理会社の募集力に目が向きます。もちろん募集の質は重要です。ただ、家賃、設備、築年数、間取り、周辺競合、写真、初期費用、入居条件も影響します。管理会社を変えれば全て改善するという見方ではなく、どの原因が強いかを分けて見ます。
たとえば内見は入るのに申込みがないなら、室内状態や条件が合っていない可能性があります。そもそも反響が少ないなら、賃料、写真、掲載媒体、周辺競合を見ます。原因を分けると、管理会社変更、設備投資、家賃改定、売却検討のどれを先に見るべきか判断しやすくなります。
修繕判断は、収益の出口に直結する
退去のたびに修繕費が増える物件では、管理会社の見積もりだけでなく、建物そのものの寿命も見ます。給湯器、エアコン、水回り、外壁、屋根、防水など、近い将来まとまった費用が出る部分を分けます。小さな修繕が続く物件ほど、賃貸を続ける理由を数字で確認する必要があります。
設備を入れ替えて賃料を保つのか、費用を抑えて現状維持するのか、売却して出口を作るのか。修繕の判断は管理会社選びだけでは終わりません。売却価格を横に置くと、どこまで投資するかの上限を考えやすくなります。
管理会社を変えるなら、引き継ぎの順番を決める
管理会社を変更する場合は、入居者情報、契約書、保証会社、鍵、修繕履歴、滞納状況、敷金、更新時期を引き継ぐ必要があります。変更の連絡が乱れると、入居者対応にも影響します。新しい管理会社を選ぶ前に、現在の資料がどこまで揃っているか確認します。
引き継ぎで詰まると、管理会社を変えたのにオーナーの手間が増えます。だから、管理変更のCTAへ進む前に、自分が何に困っているのか、何を任せたいのか、どの資料が手元にあるのかを整理します。そのうえで、賃貸を続けるか売却も見るかを判断します。
月次報告は、意思決定できる粒度で見る
管理会社から報告は届いているのに、状況が分からないという不満は少なくありません。入金額だけでなく、空室状況、問い合わせ数、内見数、申込みが入らない理由、修繕の見積もり根拠が見えるかを確認します。報告があることと、判断できることは別です。
管理会社を変えるなら、次の会社にどの粒度の報告を求めるかを先に決めます。毎月の数字を読む時間が取れるのか、要点だけ知りたいのか、修繕は事前承認にしたいのか。管理の質は、オーナーの意思決定スタイルとも関係します。
修繕単価ではなく、説明の筋道を見る
修繕費が高いと感じると、別の管理会社なら安くなるのではないかと考えます。ただ、安さだけで選ぶと、応急対応が遅れたり、同じ箇所の修繕を繰り返したりすることがあります。見るべきなのは、見積もりの根拠、相見積もりの扱い、緊急度、将来の予防につながるかです。
設備交換や原状回復は、入居率や家賃にも関係します。管理会社の提案が、短期の出費を抑える話なのか、長期の収益を守る話なのかを分けます。説明の筋道が見える管理会社ほど、オーナーは判断しやすくなります。
売却価格が見えると、投資判断の上限が決まる
管理を続ける場合でも、売却価格を知っておくと修繕や設備投資の上限を考えやすくなります。たとえば、今後数年で大きな修繕が必要になるなら、その費用をかけて賃貸を続けるのか、売却して資産を入れ替えるのかを比べられます。
管理会社の変更は、賃貸経営を続ける意思表示にも見えます。だからこそ、変更前に売却という出口を一度横に置きます。売却価格が分かると、管理改善に期待する期間や、次に見直すタイミングを決めやすくなります。
フォームへ進む前の管理メモ
- 空室いつから空いているか、募集条件を何回変えたかを確認します。
- 修繕直近の修繕費、見積もりの根拠、同じ不具合の再発を見ます。
- 報告月次報告、滞納報告、入居者対応の連絡速度を振り返ります。
- 出口賃貸継続、管理会社変更、売却、買取のどこまで見るかを決めます。
管理会社を変える前にこのメモを作ると、次の会社へ求める役割が明確になります。売却価格を横に置く場合も、賃貸を続ける理由と期間を考えやすくなります。
収益の変化を月単位ではなく年単位で見る
管理会社の見直しでは、毎月の管理手数料に目が向きます。ただ、賃貸経営の収益は月単位だけでは判断しにくいものです。1年のうち何か月空いたか、退去ごとにどれだけ修繕費が出たか、募集条件を変えた時期はいつか。年単位で見ると、管理の問題と物件の問題が分かれやすくなります。
手数料が少し下がっても、空室期間が伸びれば収益は悪化します。反対に、手数料が同じでも報告が早く、修繕判断が適切で、募集条件の見直しが早ければ、オーナーの負担は軽くなることがあります。管理会社を比べるときは、金額だけでなく判断の速さと説明の量を見ます。
また、築年数が進むほど修繕費は読みにくくなります。今後も賃貸として持つのか、管理を変えて数年様子を見るのか、売却価格も確認して出口を置くのか。年単位の収支を見ると、管理変更の目的が明確になります。
賃貸を続けるか見る
管理見直しと売却価格を並べて、出口を考える
管理会社を変える前に売却価格も確認しておくと、賃貸を続ける理由が整理しやすくなります。
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