相続税がかかったのは10.4%。申告事績で見る土地と家屋の割合

棒グラフの印刷された用紙の上に置かれた電卓とボールペン
写真はイメージです。Photo: Pixabay / Pexels(Pexels License)

親が亡くなったとき、相続税の申告が必要になる家はどのくらいあるのか。実家の土地や建物は、相続財産のなかでどの程度の割合を占めているのか。相続の話し合いが始まる前に、こうした全体像を知っておくと、家族の不安を少し具体的な問いに置き換えられます。

このコラムでは、国税庁が令和7年12月に公表した『令和6年分 相続税の申告事績の概要』の数値を、読み違えやすい点と一緒に整理します。統計は全国の集計です。自分の家に相続税がかかるかどうか、いくらになるかは、財産の額や相続人の数で変わるため、個別の計算は税理士や税務署に確認してください。

令和6年分、申告書の提出に係る被相続人は166,730人

国税庁の資料によると、令和6年分の被相続人数(死亡者数)は1,605,378人で、前年の1,576,016人から101.9%になりました。このうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は166,730人で、前年の155,740人に対して107.1%です。

死亡者数に対する割合である課税割合は10.4%で、前年の9.9%から0.5ポイント上がりました。基礎控除額が引き下げられた平成27年分の課税割合は8.0%で、そこから令和元年分の8.3%を除いて上昇が続いています。課税価格と税額についても、国税庁は平成27年分以降でいずれも最も多い水準になったと公表しています。

項目 令和5年分 令和6年分 対前年
被相続人数(死亡者数)1,576,016人1,605,378人101.9%
申告書の提出に係る被相続人数155,740人166,730人107.1%
課税割合9.9%10.4%0.5ポイント
納税者である相続人数339,098人361,260人106.5%
課税価格216,335億円233,846億円108.1%
税額30,053億円32,446億円108.0%
相続税の課税割合 平成27年分8.0%から令和6年分10.4%へ 課税割合(%) 0 4 8 12 8.0 H27 8.1 H28 8.3 H29 8.5 H30 8.3 R元 8.8 R2 9.3 R3 9.6 R4 9.9 R5 10.4 R6 年分
相続税の課税割合(相続税額のある申告書に係る被相続人数を死亡者数で割った割合)の推移、平成27年分〜令和6年分。出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』参考計表2(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)を基に Real Estate 7 Grid が作成

出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)。表は同資料Ⅰ「相続税の申告事績」、図は参考計表2「課税割合の推移」の表示値。

課税割合は「死亡者数に対する割合」として読む

課税割合10.4%という数字は、分母が人口動態統計に基づく死亡者数、分子が相続税額のある申告書に係る被相続人数です。約10人に1人と言い換えたくなりますが、これは全国の亡くなった人の数に対する割合であって、ある家庭に相続税がかかる確率を示すものではありません。財産の多い地域や家族構成によって、身近に感じる割合は大きく違います。

もう一つ注意したいのは、申告しても税額が出なかった人の扱いです。資料では、税額のない申告書に係る被相続人数を外書として別に載せていて、令和6年分は39,755人(令和5年分は38,121人)でした。課税割合の分子には、この税額のない申告は入っていません。申告書を出した被相続人は166,730人と39,755人の両方にまたがる、と理解しておくと、申告の手間がかかる家の範囲を狭く見積もらずに済みます。

また、各計数は相続税額のある申告書(修正申告書を除く)のデータに基づき、令和6年分は令和7年10月31日までに提出された申告書が対象です。それより後に提出された申告書は集計に入っていない点も、数字を読むときの前提になります。

出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)。Ⅰ「相続税の申告事績」表の注記。

相続財産の構成比、土地30.2%、家屋4.8%

相続税額のある申告に係る相続財産の金額は、令和6年分で合計245,415億円でした。内訳は、現金・預貯金等85,602億円、土地74,074億円、有価証券43,676億円、家屋11,901億円、その他30,162億円です。

構成比で見ると、現金・預貯金等34.9%、土地30.2%、有価証券17.8%、家屋4.8%、その他12.3%です。平成27年分は土地が38.0%で最も大きな割合を占めていましたが、令和6年分では現金・預貯金等を下回っています。家屋も5.3%から4.8%に下がりました。

相続財産の構成比 令和6年分は土地30.2%、家屋4.8% 相続財産の構成比(%) H27 30.7 38.0 14.9 5.3 11.0 R5 35.1 31.5 17.1 5.0 11.4 R6 34.9 30.2 17.8 4.8 12.3 0% 50% 100% 預貯金等 土地 有価証券 家屋 その他
相続税額のある申告に係る相続財産の金額の構成比(平成27年分・令和5年分・令和6年分)。数値は資料の表示どおりで、合計が100にならない年分がある。出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』参考計表5(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)を基に Real Estate 7 Grid が作成

割合が下がったからといって、土地の金額が減ったわけではありません。土地の金額は平成27年分の59,400億円から令和6年分の74,074億円に増えています。相続財産全体が156,362億円から245,415億円へ大きく増えたなかで、預貯金や有価証券の伸びが大きかった、という読み方になります。

出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)。参考計表4「相続財産の金額の推移」、参考計表5「相続財産の金額の構成比の推移」。

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実家の価格感

申告上の金額とは別に、実家の価格感を確かめる

統計の土地・家屋の金額は申告上の評価額です。実家を売った場合にどのくらいの価格になりそうかは、外部の一括査定サービスで複数の不動産会社の見方を並べて確かめられます。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

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1人当たり14,025万円は「税額がある申告」の平均

資料には、被相続人1人当たりの課税価格14,025万円(令和5年分13,891万円)、1人当たりの税額1,946万円(同1,930万円)という数字も載っています。見出しになりやすい数字ですが、これは相続税額のある申告に係る被相続人166,730人の平均です。亡くなった人全体の平均でも、申告した人全体の平均でもありません。

課税価格は、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した財産の価額を加え、債務や葬式費用を差し引き、さらに相続開始前3年以内の生前贈与財産の価額を加えたものです。預金通帳の残高や固定資産税の評価額を足しただけの数字とは、中身が違います。平均値は一部の大きな相続に引っ張られやすい点も含めて、自分の家の目安として当てはめないほうが安全です。

出典: 国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』(令和7年12月公表。確認日: 2026年9月29日)。Ⅰ「相続税の申告事績」表⑦⑧と注記。

基礎控除額の式は、国税庁タックスアンサーで確かめる

相続税がかかるかどうかの最初の目安は、遺産の額が基礎控除額を超えるかどうかです。国税庁タックスアンサー『No.4152 相続税の計算』では、基礎控除額を3,000万円に、600万円に法定相続人の数を掛けた額を足して求める式が示されています。

ただ、法定相続人の数え方、特例の適用、生前贈与の加算、債務の扱いなど、計算には個別の判断が多く入ります。式に当てはめて基礎控除額を下回りそうだと分かっても、申告が不要と決める前に、税理士や所轄の税務署に確認してください。

出典: 国税庁 タックスアンサー『No.4152 相続税の計算』(令和8年4月1日現在法令等。確認日: 2026年9月29日)

統計の「土地・家屋の金額」と、売ったときの価格は別物

申告事績の土地74,074億円、家屋11,901億円は、相続税の申告で評価した金額の合計です。相続税の評価は税額を計算するための金額で、売却したときに買い手が付ける価格とは考え方が違います。

実家を相続したあと、住み続けるか、貸すか、売るかを家族で話し合う場面では、申告上の評価額と売却時の価格感を同じ表に並べておくと、話が進みやすくなります。評価と市場価格の違いは、同じカテゴリの相続した実家の査定価格をどう読むかの「相続税の評価額と、売れる価格は別に見る」の節で詳しく扱っています。

  • 評価額相続税の申告で使う金額。財産の構成比の統計はこの金額の合計。
  • 査定価格不動産会社が、周辺の取引や物件の状態を見て示す売却見込みの価格。
  • 成約価格実際に売買が成立した価格。売り出しの時期や条件で変わる。

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価格を並べる

評価額と売却価格の見込みを、同じ表に並べる

相続の話し合いでは、申告上の評価額とは別に、売却した場合の価格感があると選択肢を比べやすくなります。外部の一括査定サービスで、複数の不動産会社の見方を確かめられます。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

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よくある確認事項

  • 課税割合10.4%は、10人に1人の家に相続税がかかるという意味ですかいいえ。全国の死亡者数に対する、相続税額のある申告に係る被相続人数の割合です。個々の家庭が該当するかは、財産の額や相続人の数で変わります。
  • 税額がゼロなら申告しなくてよいですか統計では税額のない申告書も外書で39,755人(令和6年分)計上されています。申告が要るかどうかは、税理士または所轄の税務署に確認してください。
  • 構成比の土地30.2%は、土地の値段が下がったということですかいいえ。土地の金額は平成27年分の59,400億円から令和6年分の74,074億円に増えています。預貯金等や有価証券の伸びが大きく、割合が下がったという読み方です。
  • 統計の土地・家屋の金額で実家の売却価格が分かりますか分かりません。統計は相続税の申告上の評価額の合計です。売却した場合の価格感は、不動産会社の査定などで別に確かめます。

まとめ:家族で共有しておく数字のメモ

全国の統計は、自分の家に相続税がかかるかどうかを教えてはくれません。それでも、どのくらいの人が申告しているのか、財産のうち土地と家屋がどの程度を占めるのかを知っておくと、家族で話すときの前提がそろいます。

  • 課税割合令和6年分10.4%。死亡者数に対する、税額のある申告に係る被相続人の割合。
  • 税額なしの申告令和6年分39,755人。課税割合とは別に外書で計上されている。
  • 土地と家屋構成比は土地30.2%、家屋4.8%。いずれも申告上の評価額ベース。
  • 1人当たりの額課税価格14,025万円、税額1,946万円は税額がある申告の平均。
  • 確認先自分の家の計算は、税理士または所轄の税務署へ。

令和7年分の申告事績は、例年どおりであれば令和8年12月ごろに公表される見込みです。公表後は数値を確認し、このコラムも更新します。

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