マンションの不動産価格指数をどう読むか。基準年・速報値・公表延期の注意点
住み替えを考え始めると、「マンション価格は上がっている」という話をよく目にします。その根拠としてよく使われる公的な統計のひとつが、国土交通省の不動産価格指数です。ただ、指数は自分の住戸の価格そのものではなく、読み方にもいくつかの前提があります。
この記事では、公表されている最新の数字(令和7年12月分)を例に、基準年、季節調整値と原系列、速報値の改訂、地域差、そして2026年9月29日時点で続いている公表延期について順に整理します。
不動産価格指数は、2010年平均を100とした価格の動き
不動産価格指数は、国土交通省が毎月公表している、不動産の価格の動きを指数で表した統計です。基準は2010年平均=100で、数字が150なら2010年平均の1.5倍の水準にあることを示します。住宅については、住宅総合、住宅地、戸建住宅、マンション(区分所有)の区分で公表されています。
令和7年12月分の全国の季節調整値は、住宅総合が148.0(前月比0.5%増)、住宅地が119.8、戸建住宅が121.9、マンション(区分所有)が225.1(前月比1.0%増)でした。同じ「住宅」でも、区分によって水準が大きく違うことが分かります。
指数が示すのは、基準時点からの変化の割合です。「225.1」は価格の金額ではなく、2010年平均と比べた水準を表しています。
出典: 国土交通省『不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)』(2026年3月31日公表。令和7年12月分、速報値。確認日: 2026年9月29日)。報道発表ページ
マンションは2010年平均の約2.25倍。戸建住宅とは動きが違う
マンション(区分所有)の指数を各年1月で追うと、2019年1月の146.1から、2020年1月に151.4、2021年1月に157.0、2022年1月に174.7、2023年1月に188.2、2024年1月に197.1、2025年1月に210.1となり、2025年12月は225.1でした。2010年平均の約2.25倍の水準です。
一方、戸建住宅は同じ時点で105.2、101.9、102.6、111.3、117.9、117.7、117.3と動き、2025年12月は121.9でした。マンションと戸建住宅では、指数の水準も上がり方も違います。「住宅の価格が上がっている」とひとまとめにせず、自分の住まいがどの区分に当たるかを確かめて読む必要があります。
1年前との比較では、マンションの季節調整値は令和6年12月の207.7から、令和7年12月の225.1へ上がっています。ただし、これは全国で取引された物件をまとめた指数の動きです。自分の住戸が同じ割合で値上がりしたことを意味しません。
季節調整値と原系列は別の数字(225.1と221.2)
不動産価格指数には、季節による変動を調整した季節調整値と、調整する前の原系列の2つの系列が公表されています。令和7年12月のマンション(区分所有)は、季節調整値が225.1、原系列が221.2でした。同じ月の同じ区分でも、どちらの系列を見るかで数字が違います。
報道発表の見出しの数字や前月比(マンションは前月比1.0%増、令和7年11月の222.9から)は、季節調整値で示されています。記事やチラシで指数を見かけたときは、どちらの系列の数字か、何月分か、全国か地域かを確かめると、別の資料と比べるときに取り違えを防げます。
季節調整の具体的な方法は、この記事では作成方法の説明資料まで確認していません。ここでは、2つの系列があり、比べるときは同じ系列どうしで比べる、という点を押さえておけば十分です。
出典: 国土交通省『不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)』(2026年3月31日公表。1頁の参考表。確認日: 2026年9月29日)
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全国の指数ではなく、自分の住戸の価格帯を確認する
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リビンマッチの売却査定フォームへ進む直近の数字は速報値。公表後3か月は改訂され、サンプル数も少ない
国土交通省の資料には、各数値は速報値であり、初回公表後3か月間は改訂を行う旨が注記されています。つまり、いま見ている最新の数字は、後から変わる可能性がある数字です。令和7年12月分は2026年3月31日に初めて公表されたもので、対象月から公表まで約3か月かかっています。
指数の算出に使われたマンション(区分所有)のサンプル数を見ると、令和7年9月分は4,418、11月分は3,959、12月分は2,729でした。直近の月ほどサンプル数が少なくなっています。直近の1か月の上げ下げだけを取り出して判断するより、数か月から数年の流れで見るほうが、読み違いは少なくなります。
出典: 国土交通省『不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)』(2026年3月31日公表。1頁の注記、4頁の全国表のサンプル数。確認日: 2026年9月29日)。要約
2026年9月29日時点で、令和8年1月分以降の公表は延期されている
国土交通省の不動産価格指数のページでは、2026年(令和8年)9月28日付のお知らせで、9月30日に予定していた令和8年6月分の公表を延期すると案内されています。理由は、算出に使うプログラムに不具合が発生し、原因を確認しているためとされています。同じ理由で、令和8年4月以降に公表予定だった令和8年1月分から5月分も延期されており、新しい公表日は未定です。
このため、2026年9月29日時点で公表されている最新の月次は令和7年12月分(2026年3月31日公表)です。この記事の数字もすべて令和7年12月分までのものです。直近9か月ほどの動きは、この指数からは分かりません。
公表が再開されると、令和7年10月〜12月分の速報値が改訂されることや、新しい月の数字が加わることが考えられます。指数を判断材料に使うときは、国土交通省のページで最新の公表状況を確かめてください。
出典: 国土交通省『不動産価格指数』(2026年9月28日付のお知らせ。確認日: 2026年9月29日)。要約
地域で水準は大きく違う。全国指数は自分の住戸の価格ではない
令和7年12月のマンション(区分所有)の季節調整値を地域別に見ると、東京都が234.8、大阪府が233.1、京阪神圏が224.2、南関東圏が219.8、愛知県が196.5、名古屋圏が193.1でした。全国の225.1より高い地域も低い地域もあります。
地域別の表には、北陸、中国、四国地方のマンションの値は、サンプル数が少ないため参考値として括弧書きで示す旨の注記があります。地域を細かく見るほどサンプル数は少なくなり、数字の振れも大きくなりやすいと考えておくと安全です。
さらに、同じ地域の中でも、駅からの距離、築年数、広さ、階数、管理の状態などで個々の住戸の価格は変わります。全国や都道府県の指数は、その地域で取引された物件全体の動きを示すものであり、自分の住戸の価格を計算するための数字ではありません。購入時の価格に指数の倍率を掛けて今の価格を見積もるような使い方は、誤解のもとになります。
指数は「方向感」。個別の価格は査定や成約事例で確かめる
ここまでの点を、住み替えの検討で指数を使うときの確認事項としてまとめます。
- 基準2010年平均=100。数字は金額ではなく、基準からの水準を表す。
- 系列季節調整値か原系列か。比べるときは同じ系列どうしで比べる。
- 時点何月分の数字か。直近3か月は速報値で、改訂されることがある。
- 範囲全国か、圏域か、都道府県か。サンプル数が少ない地域は参考値。
- 公表状況2026年9月29日時点では令和8年1月分以降が未公表。最新の状況を国土交通省のページで確認する。
指数は、市場全体がどちらの方向に動いてきたかを知る手がかりになります。一方で、住み替えの資金計画に必要なのは、自分の住戸がいくらで売れそうかという個別の見通しです。複数の査定額や近隣の成約事例と、指数が示す全体の流れを並べて見ると、どちらか一方だけで判断するより前提のずれに気づきやすくなります。売り先行か買い先行かの考え方は、下の関連記事で扱っています。
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