都道府県別の空き家率で、実家のある地域を確かめる

高台から見下ろした、海沿いに広がる住宅地と市街地の遠景
写真はイメージです。Photo: Nichika Sakurai / Unsplash(Unsplash License)

実家が空き家になりそう、あるいはすでに空いている。そんなとき、ニュースで見る全国の空き家率よりも、実家のある県の数字のほうが気になるかもしれません。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査は、都道府県ごとの空き家率を公表しています。

ただ、県の空き家率は一つではありません。別荘や賃貸用の部屋まで含めた率と、それらを除いた率では、高い県・低い県の顔ぶれも水準も変わります。この記事では、2つの率を並べて、戸建ての実家に当てはめるときはどちらを見るとよいかを整理します。県の数字は判断の材料の一つであり、実家を売るか残すかの答えを示すものではありません。

空き家率には2つの見方がある

1つ目は、一般に空き家率と呼ばれるものです。総住宅数に占める空き家の割合で、2023年10月1日時点の全国値は13.8%でした。この空き家には、入居者を募集している賃貸用の住宅、買い手を探している売却用の住宅、別荘などの二次的住宅も含まれます。

2つ目は、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率です。貸す予定も売る予定もなく、別荘でもない空き家が、総住宅数に占める割合を表します。全国値は5.9%でした。親が施設に移った、あるいは亡くなった後にそのままになっている戸建ては、多くがこちらの種類に入ると考えられます。

この種類は、平成30年までの調査では「その他の住宅」と呼ばれ、空き家の話題では「その他空き家」という言い方もよく使われてきました。令和5年調査から名称が変わっているため、古い記事と数字を比べるときは呼び方の違いに気をつけてください。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)。掲載ページ: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」

空き家率の高い県・低い県

1つ目の空き家率を都道府県別に見ると、高い県は徳島県21.3%、和歌山県21.2%、鹿児島県20.5%、山梨県20.4%、高知県20.3%、長野県20.1%で、この6県は20%を超えています。低い県は埼玉県9.3%、沖縄県9.4%、神奈川県9.8%、東京都10.9%でした。最も高い徳島県と最も低い埼玉県の差は12ポイントあります。

下の図は、2つの率について高い県と低い県を抜き出して並べたものです。全都道府県の一覧ではありません。

都道府県別の空き家率(徳島21.3%から埼玉9.3%、全国13.8%)と、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率(鹿児島13.6%から東京2.6%、全国5.9%)の抜粋 空き家率 徳島 21.3 和歌山 21.2 鹿児島 20.5 山梨 20.4 高知 20.3 全国 13.8 東京 10.9 神奈川 9.8 沖縄 9.4 埼玉 9.3 賃貸・売却用等を除く空き家率 鹿児島 13.6 高知 12.9 徳島 12.2 愛媛 12.2 和歌山 12.1 全国 5.9 沖縄 4.0 埼玉 3.8 神奈川 3.2 東京 2.6 0 5 10 15 20 25 %
都道府県別の空き家率(上)と、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率(下)。2023年10月1日時点。それぞれ高い5県・低い4都県と全国値を抜粋して掲載(全都道府県ではない)。単位は%。出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』 付表「都道府県別の主な指標(2023年)」(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)を基に Real Estate 7 Grid が作成

空き家率は、あくまで総住宅数に占める割合です。東京都の空き家率は10.9%と低いほうですが、空き家の数そのものは89万7千戸で、全国でも多い水準にあります。率が低いことと、空き家が少ないことは同じ意味ではありません。

また、この調査は標本調査で、速報集計から確報集計へ移る際に空き家率が変わった都府県が19ありました(例: 徳島県は21.2%から21.3%へ)。この記事では確報集計の値だけを使っています。速報時点の記事と数字が少し違う場合は、この違いによるものです。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』 付表、参考2(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

戸建ての実家に近いのは、賃貸・売却用等を除く空き家率

1つ目の空き家率は、別荘の多い地域や、賃貸住宅の空室が多い地域で高くなります。戸建ての実家を考えるときに、その数字だけを見ると、実家の状況とは別の事情を読み込んでしまうおそれがあります。

同じ調査で建て方別の内訳を見ると、一戸建の空き家352万3千戸のうち、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家は285万1千戸で、80.9%を占めていました。共同住宅の空き家では、この種類は16.9%にとどまります。戸建ての空き家の多くは、貸す予定も売る予定もないまま置かれている、ということになります。

同じ県の中でも、2つの数字の関係は違います。鹿児島県は空き家18万4千戸のうち12万2千戸が賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家でした。東京都は空き家89万7千戸のうち21万4千戸です。東京都の空き家は賃貸用などが多く、鹿児島県は使う予定の決まっていない空き家の比重が大きいことが分かります。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』 表2-2、付表(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

賃貸・売却用等を除く空き家率の高い県・低い県

2つ目の率で見ると、高い県は鹿児島県13.6%、高知県12.9%、徳島県12.2%、愛媛県12.2%、和歌山県12.1%、島根県11.3%、山口県11.1%でした。徳島県と愛媛県は同じ値です。低い県は東京都2.6%、神奈川県3.2%、埼玉県3.8%、沖縄県4.0%で、全国値は5.9%です。

1つ目の空き家率で上位にあった山梨県や長野県は、この一覧には入っていません。1つ目の率には別荘などの二次的住宅や賃貸用の空き家も含まれるため、県による率の違いには、そうした住宅の多さも影響しています。一方で、徳島県、和歌山県、鹿児島県、高知県は、2つの率のどちらでも高いほうに並んでいます。

実家のある県がどちらの率でどのあたりにあるかを知っておくと、「周りにも同じような家が多い地域なのか」「空き家の多くは賃貸の空室なのか」といった背景を、家族で話すときの共通の前提にできます。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』 付表(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

広告

実家の価格感

県の数字と並べて、実家そのものの価格感を見る

県の空き家率は地域の傾向です。実家がいくらくらいで売れそうかは、建物と土地の条件で決まるため、個別の査定額を並べて確かめる方法があります。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

リビンマッチの売却査定フォームへ進む

県の数字を、実家の判断にそのまま使わない

都道府県の空き家率は、県内の市区町村をまとめた値です。同じ県の中でも、県庁所在地の中心部と山あいの町では事情が大きく違います。総務省統計局は、市区と人口1万5千人以上の町村についても結果を表章しており、政府統計の総合窓口(e-Stat)で市区町村別の表を確認できます。実家の地域の傾向を知りたいときは、県よりも市区町村の数字のほうが近いはずです。

もう一つ気をつけたいのは、空き家率を不動産価格や売れやすさの目安として読まないことです。空き家率が高い県だから実家が売れにくい、低い県だから売りやすい、という関係を示すデータはこの調査にはありません。空き家率は、その地域にどれだけ使われていない住宅があるかを示す数字で、価格の話は別に確かめる必要があります。

県の数字は、背景を知るための材料です。急いで結論を出す理由にも、先送りの理由にもせず、実家そのものの状態と家族の予定を並べて考えるのが落ち着いた進め方です。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査基準日2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)。市区町村別の表は 政府統計の総合窓口(e-Stat)の住宅・土地統計調査の項目から探せます。

実家の地域で確認しておくこと

  • 市区町村の数字e-Statで、実家のある市区町村の空き家数と空き家率を見ておく。県の値との違いが分かります。
  • 自治体の空き家バンク市区町村が空き家バンクを運営しているかを確認する。登録の条件や、同じ地域でどんな物件が出ているかの参考になります。
  • 固定資産税の通知毎年届く納税通知書で、土地と建物の課税の内容を確認する。空き家の管理状態と税の関係は管理不全空家等の記事で整理しています。
  • 近隣の様子周りに同じような空き家があるか、庭木や塀の状態で近所に迷惑をかけていないかを、帰省の機会に見ておく。
  • 家族の予定誰かが住む予定があるか、貸すか売るかを話したことがあるか。管理を続ける場合の手間と費用は売る・残すの記事で扱っています。

こうした確認は、今すぐ何かを決めるためではなく、決めるときに必要な材料をそろえておくためのものです。市区町村の数字と実家の状態、家族の予定がそろえば、売却、賃貸、管理の継続を同じ条件で比べやすくなります。

広告

売却と買取

売却と買取の入口を、実家の状態に合わせて見る

古家付きのまま売る場合と、買取を使う場合では、価格の見え方も手間も変わります。両方の入口を見ておくと、家族に説明しやすくなります。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

リビンマッチの売却査定フォームへ進む リビンマッチの買取の入口を見る

あわせて読む

カテゴリの一覧はT05 空き家 × 戸建てから辿れます。